Imaginary World

「日本全体が都市化したことを、わたしたちは「近代化」とか「民主化」とか「進歩」といってきました。そういうふうな言葉でいうと、何がなんだかわからなくなるので、私は「脳化」といったわけです。(P187)」







社会に出たら、化粧をするのがルールだ。

その言葉に一時期、ものすごく反感を抱いていた。


でも、

養老孟司氏の考えに基づくと、その必要性がすんなり理解できる。


ここは、imaginary world。

誰かの頭の中にあった世界。

人工でないものの存在を許さない都市社会。



最近感じていた“生きにくさ”の答えが、この本の中にあった。


私の快はそこにないのに、

思考様式は都市化社会のルールに則っている。


「仕方ない」

それは良くない言葉だと教えられ、

極力その言葉を使わないように気をつけてきたのだけど、

あくまでそれは、都市社会の中での価値観にすぎない。



脳化社会に適応して大人になっていく自分と、

自然な存在としてありたいと欲する子どもの自分。

両者が自分の中に併存して、競合しあっている。


この矛盾が今感じている“生きにくさ”の正体だった。



自分は死なないと思っているヒトへ―知の毒 (だいわ文庫)

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