目盛りを超えて
「人間が未成年の状態にあるのは、理性がないからではなく、
他人の指示を仰がないと、自分の理性を使う勇気も決意ももてないからなのだ。
だから人間はみずからの責任において、
未成年の状態にとどまっていることになる。」
―――カント『啓蒙とは何か』
知る機会は沢山あった。
それを感じ取れなかっただけ。
それを掴み取れなかっただけ。
それを学び取れなかっただけ。
どうすれば発見できるのか、
どうすれば本質に触れられるのか。
必要性は分かっても、そこに辿り着く道筋が見えない。
「違和感を原動力に」進んできたつもりだった。
でもそれは、主張の対立に由来するものではなく、
あくまでも自己内部の整合性への欲求に基づくもの。
何かを吸収することではあっても、
何かを生成することではない。
そんな違和感だけでは、
いつまでも自分の枠内で動いているだけで、
全然 前に進めない。
満足なんて、一時のもの。
すぐに何か足りなくなる。欲しくなる。
もっと自分を操作できるようになりたい。
思考の速度を制御できるようになりたい。
いつでも最高速度を出せるような人になりたい。
あの快感を、何度でもこの手に。